2008年04月23日
ろ過の圧力による分類
複雑な構造を経て出来ているなんて、奇跡ですね。
ろ過において、そのろ過速度をもっとも大きく左右するパラメータのひとつは差圧、すなわち、ろ紙の上下面にかかる圧力差である。これによりろ過は以下の4つに分類できる。
自然ろ過
通常、ろ過といえばこれを指す。ろ過に関わる力はろ紙上と漏斗内にある液体にかかる重力のみであり、ろ過速度は遅い。しかしながら特別な装置などを必要としないため、最も広く用いられる。比較的粘度が低く、固体の量が少ないものが対象になる。円形のろ紙を用い、これを4つ折り(分析折りとも呼ぶ)にして漏斗に密着させ、これにろ過したいものを注ぐ。また、ろ紙に山折と谷折を交互に繰り返してひだ状にしたひだ折りろ紙を用いる方法もある。 前者はろ紙の物理的強度に優れるが、有効面積の約半分しか使用できないため、ろ過速度は遅い。後者は繰り返し折るため強度は弱くなるが、ろ過面積を有効に使えるため、ろ過速度に優れる。一般には残渣の回収率を重視する場合は前者が用いられ、ろ液のみを必要とする際などは後者を用いることが多い。
減圧ろ過
減圧ろ過とは、ろ過速度を向上させるために、ろ紙の下面を減圧して大気圧をかけてろ過するろ過方法を指す。これにより、自然ろ過では不可能であった高粘度物質のろ過や大量の沈殿のろ過が可能である。減圧ろ過の最も簡単な方法は、ろ過瓶と呼ばれる減圧可能なガラス瓶をろ液受けとして使用し、圧力が一箇所に集中することを防ぐために、ろ紙を平面の目皿に置くブフナーロートを用いるものである。ろ紙を折らないため、残渣の回収率もきわめて高い。減圧ろ過ではろ紙がろ液に濡れたときの物理的強度を特に吟味する必要がある。
加圧ろ過
加圧ろ過とは、減圧ろ過でもろ過しきれない物質に対するろ過法。耐圧の容器(加圧ろ過器などと呼ぶ)に、ろ紙とろ過したいものを充填し、ろ過液面上部を圧縮空気もしくは窒素などの不活性ガスで加圧する。理論的にはろ材もしくは容器が耐えうる圧力まで加圧することができるので、大気圧分までしか差圧が得られない減圧ろ過に比べて効率よくろ過を行うことができる。また、通常のろ紙ではこの圧力に耐えることができないため、専用に設計されたろ過板を用いることが多い。
遠心ろ過
遠心ろ過とは、遠心力を用いて差圧を得てろ過する方法。実験室的にはカートリッジになったろ過チップにろ過したいものを入れ、遠心分離機でろ過する。減圧ろ過、加圧ろ過ほど一般的ではないが、より差圧が必要な限外ろ過などに用いられる。
上記のろ過手法は順にろ過速度、能力に優れるが、その分設備的な制約が大きくなる。このため、一般の実験室では減圧ろ過までが用いられることが多く、逆にプラントスケールのろ過においては、そのろ過性状に関係なく加圧ろ過が用いられたり、加圧・減圧を併用したろ過を行うことも多い。
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